フィルムカメラの名作として知られる「オリンパス PEN F F1.8」。
その独特な設計思想と美しいデザインは、発売から60年近く経った今でも多くのカメラファンを魅了しています。
小型なカメラでありながらプロフェッショナルな機能を備えた先進的な設計で、現在でも高い評価を受けているクラシックカメラの一つです。特に、コンパクトなボディに本格的な機能を詰め込んだ設計思想は、後のミラーレスカメラなどにも通ずる影響を感じられます。
この記事では、この「オリンパス PEN F F1.8」についてご紹介します。
ハーフサイズカメラの先駆者
オリンパス PENシリーズは、ハーフサイズカメラの先駆者として広く認知されています。
「ハーフサイズフォーマット」とは、35mmフィルムの1コマを半分ずつ使うフォーマットを指します。通常の35mmフィルムで1コマあたり横36mm×縦24mmのフレームを使用するところ、PENシリーズでは横18mm×縦24mmのフレームを利用します。これにより、1本のフィルムから通常の2倍の写真が撮影可能となりました(例えば、36枚撮りフィルムでは最大72枚撮影可能)。
この特長は、フィルムが高価だった時代に経済性を大幅に向上させ、気軽に写真を楽しめる機会を提供しました。フィルムの価格が高騰している現在、還暦を1周回って、またこのハーフサイズの良さが生かされています。
PEN F F1.8は、この画期的なシリーズの中でも「一眼レフスタイル」を取り入れた画期的なモデルです。「ハーフサイズフォーマット」により縦位置構図が基本となります。一般的なカメラの横位置構図に慣れた目からは違った世界が浮かび上がってきます。
独自の技術設計
PEN F F1.8の最大の特徴は、スリムなボディに独自のミラー反射式ファインダーシステムを搭載していることです。通常の一眼レフで採用されるペンタプリズムを省くことで、ボディのコンパクト化に貢献しています。この設計は、携帯性と使いやすさの両立を求めたオリンパスならではの工夫です。
さらに、交換可能なレンズシステムを採用しており、搭載された明るいZuiko F1.8レンズは優れた描写力を持っています。
このレンズは、美しい描写力で、多くの撮影シーンに活躍します。ハーフサイズからフルサイズ同等に引き延ばされても十分な解像を持ち合わせています。
デザインの魅力:機能美と芸術性の融合
PEN F F1.8は、その性能だけでなく美しいデザインでも特筆に値します。特に、カメラのボディ正面にはアルファベット「F」をかたどった花文字が刻まれており、珍しい芸術的な装飾が施されています。この花文字は、工業デザインとして傑作ともいえるもので、多くのカメラファンに愛されています。
また、ボディは持ちやすい形状と堅牢な質感を兼ね備えており、細部にまでこだわった設計が見て取れます。コンパクトでありながらプロフェッショナルな雰囲気を醸し出すその姿は、時代を超えてなお魅力的です。
現在でも楽しめるクラシックカメラ
PEN F F1.8はフィルムカメラとしての完成度が高く、現在でも中古市場で人気があります。ハーフサイズフィルム特有の写りや、独自のファインダーシステムを通じて得られる撮影体験は、デジタルカメラでは得られない魅力を持っています。
さらに、マウントアダプターを使用することで、デジタルカメラでもこのレンズの描写力を楽しむことができます。フィルム写真を始めてみたい方や、クラシックなレンズの魅力をデジタルで引き出したい方にとっても、PEN F F1.8は非常におすすめです。
発売時期から半世紀以上経っていることもあり、中古市場では個体差が大きくなっています。実際に手に取って状態を確かめてみることをおすすめします。
まとめ
オリンパス PEN F F1.8は、技術的な革新と美的感覚を兼ね備えたカメラの名作です。そのハーフサイズフォーマットによる効率性、独自のミラー反射式ファインダー、そして美しいデザインは、多くのカメラファンを魅了し続けています。
オリンパス PEN F F1.8を通じて、フィルム撮影の楽しさを再発見し、写真の魅力をさらに深く味わってみてはいかがでしょうか?