「高級コンパクトカメラの元祖」として今なお愛され続けるRollei 35(ローライ35)シリーズ。
手のひらサイズながら、名門メーカーの技術が凝縮されたその魅力は衰えを知りません。
今回は、そのラインナップの中でも、Rollei 35の基本形を受け継いだ「Rollei 35 T」について紹介します。

Rollei 35 Tとは? 名前の由来と立ち位置
Rollei 35 Tは、1974年から1980年まで製造されたモデルです。
初代Rollei 35とほぼ同じスペックを持っています。 Rollei 35 Sが発売されたことにより、区別するために、Rollei 35 Tという名称が割り当てられました。
そのため、Rollei 35 TはTがTessar(テッサー)レンズを示唆するものと思われます。

Rollei 35 Tの主な特徴とスペック
Rollei 35 Tは、そのコンパクトなボディに、機械式カメラとしての確かな性能を詰め込んでいます。
| 項目 | 詳細 |
| レンズ | Tessar f/3.5, 40 mm (テッサー) |
| シャッター | B、1/2秒〜1/500秒 |
| 露出計 | CdS受光素子・針式(バッテリー駆動) |
| 使用電池 | MR-9水銀電池 |
| 製造国 | シンガポール |
| 製造期間 | 1974年〜1980年 |
- テッサーレンズの描写力
レンズには、カールツァイスの代表的レンズであり、「鷹の目」の愛称を持つTessar 40mm F3.5が搭載されています。
テッサーレンズは高いコントラストが特徴で、シャープなピントの切れ味を楽しめます。小型ボディでありながら、高性能な描写を味わうことができます。 - シンプルで実用的な露出計(針式)
Rollei 35 Tの露出計は、CdS受光素子を使用した針式です。この露出計の針はボディ上面の窓の中に配置されており、絞りダイヤルやシャッター速度ダイヤルを回すことで、白い針(測光値)とオレンジ色の針(カメラの設定値)が重なるように調整し、適正露出を合わせます。
この針式露出計は、後継機のファインダー内にLED表示を持つモデルよりも、ローライ35本来のシンプルなコンセプトを保った設計として評価されており、実用面でも優れているという見方もできます。 - 伝統的なデザインの継承
Rollei 35 Tは、アクセサリーシューがボディ下面にあるというデザイン上の特徴も持っています。ホットシューが下面に配置されていることから、ストロボ使用時にはカメラを逆さまにする必要があります。
このアクセサリーシューが下面にあるデザインは、シンプルな外観を好むファンには35 Tを含む初期の機種が人気です。 - 製造国について
Rollei 35 Tは、初代Rollei 35とは異なり、シンガポールで製造されました。
ドイツ製からシンガポール製への移行は、個体の状態によって中古価格が大きく変わる傾向にあります。

Rollei 35シリーズ共通の重要な「作法」
Rollei 35 Tを含むローライ35シリーズを使用する上で、絶対に忘れてはならない独特な操作方法があります。それはレンズの沈胴・引き出しに関するものです。
沈胴式のレンズをボディに収納してコンパクトに持ち運ぶことができますが、このとき、必ずフィルムを巻き上げた状態(シャッターチャージされた状態)でないと収納できません。
巻き上げずに無理にレンズを押し込もうとすると、故障の原因となりますので、この「作法」には十分注意が必要です。
まとめ
Rollei 35 Tは、高級コンパクトカメラの歴史を作った初代Rollei 35の基本性能とデザインをそのまま受け継ぎ、テッサーレンズのシャープな描写力を楽しめる一台です。
機械式カメラであるため、丁寧に扱えば長く使用できる「一生モノ」のカメラとしても魅力があります。
Rollei 35の基本的な魅力である「針式露出計」「下面ホットシュー」といったオリジナルデザインを求めるなら、Rollei 35 Tは非常におすすめできるモデルです。
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