モノクロのまま、しばらく過ごしてみます/モノクロフィルムが好きです

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モノクロフィルムが好きです。
色がないからこそ、光の向きや影の形、質感のざらつき、空気の温度みたいなものが前に出てきます。カラーだと「きれい」で終わってしまう場面が、モノクロだと「どう光が落ちているか」「どこが沈んでいるか」に変わります。写真を撮るというより、世界の見方を整える感覚に近いです。
そんなモノクロの感覚を、撮影のときだけではなく日常にも持ち込めないかなと思いました。そこで試したのが、iPhoneの画面をモノクロ表示にすることです。きっかけは、スマートフォンの色が注意力や気分に与える影響について書かれた記事を読んだことでした。読んだ瞬間、「それって写真の話と同じ構造かもしれない」と気が付きました。

色を消すのは、我慢ではなく“普段の自分”を静かにする工夫でした

スマホって、まとまった時間に使うというより、生活のあちこちに入り込んできます。私にとっては、特に「移動時間」と「カフェで過ごす時間」に、その入り込み方が強いです。
試しにiPhoneをモノクロ表示にしてみたのは、ほんの数日前です。まだ“結論”を語れるほどではありませんが、数日でもはっきり分かったことがあります。気持ちが落ち着くように感じました。もっと正確に言うと、頭の中の音量が下がる感じがしました。
だから今は、時間帯を区切らずに普段からずっとモノクロにしています。

「お、違う」と思ったのは、SNSを開いた瞬間でした

モノクロにして最初に効いたのは、通知でもホーム画面でもなく、SNSを開いた瞬間でした。タイムラインって、色でできています。サムネイルの派手さだけではありません。ボタンの色、強調表示、アイコン、そして“気分を引き付ける”ような見出しや言い回し。あれが一気に目に飛び込んでくるから、頭が少し騒がしくなります。
モノクロにすると、その“飛び込み”が弱くなります。見ている内容は同じなのに、受け取り方が違います。特に私にとっては、文字中心の投稿で引き付けられにくくなったのが意外でした。
写真や動画なら「色が派手ではなくなる」で想像がつきます。でも文字中心でも、SNSは色でテンションを作っています。リンクの色、通知色、強調色、UIのアクセント。そこが落ち着くと、文章の強さだけが残ります。結果として、感情が必要以上に持っていかれにくくなります。

頻度は変わらなくても、“頭の中の音量”が下がるのが良かったです

モノクロにしたからといって、SNSを見る回数が劇的に減ったわけではありません。移動時間でもカフェでも、結局いつも通り開いてしまいます。
それでも意味があったのは、回数ではなく、見ている最中と見終わったあとに、頭の中の音量が下がる感じがあったからです。
派手な投稿に引き付けられにくいです。タイムラインの熱量に引っ張られにくいです。閉じたあとに残るざわつきが小さいです。
「行動を変える」より先に、「受け取り方が変わる」。モノクロフィルムが、シャッターを切る前に気持ちを整えてくれるのと同じで、モノクロの画面は、見る前と見た後の気分を少し整えてくれます。

移動時間の中では、注意が“吸い込まれにくく”なります

電車に乗っていると、スマートフォンはほぼ自動的に手に取ってしまいます。でもモノクロにしてからは、SNSを開いたときの刺激が弱いぶん、熱中する時間が必要以上に伸びにくい気がします。
数分のつもりが、気づけばもう十数分。そういうズレがゼロになるわけではありませんが、少なくとも「見たあとに疲れる感じ」は軽くなりました。

カフェでは、落ち着くための場所がちゃんと落ち着きます

カフェって、本来は少し余暇を取りに行く場所だと思います。コーヒーの香り、店内の音、窓の光。そういうものを受け取りに行きます。
でもSNSを開いた瞬間、色の強い情報が一気に入ってきて、せっかくの落ち着きが途切れることがあります。モノクロ表示にしてからは、その途切れ方が小さくなりました。
画面が淡々としているぶん、現実のほうが相対的に豊かに感じます。モノクロフィルムで「色を減らすと、光や質感が増える」と感じるのと同じで、スマホでも「色を減らすと、周りの空気が戻ってくる」感じがしました。

不便もあります。だから割り切りもセットです

もちろん、色が必要な場面は普通にあります。買い物で色味を確認したいとき、写真編集で色を追い込みたいとき、地図や路線図で色分けが重要なとき。モノクロは万能ではありません。
それでも「普段からずっと」に落ち着いたのは、私にとっては、メリットのほうが大きかったからです。必要なときは戻せばいい。基本はモノクロ、という運用がいちばんしっくりきました。

まとめ:モノクロは、世界を変えるのではなく“自分の向き”を整えます

モノクロフィルムが好きなのは、色を捨てたいからではありません。大事なものを見落とさないために、情報の優先順位を変えたいからです。
スマートフォンの色を消してみたのも、まさにその延長でした。画面が地味になった代わりに、SNSを開いた瞬間の“注意力”が弱くなって、頭の中の音量が下がります。頻度は変わらなくても、受け取り方が変わるだけで、日常は少し楽になります。モノクロフィルムがくれる“静けさ”を、日常の画面にも少しだけ持ち込めた気がしています。

だから、しばらくこのままにしてみようと思います。

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